内田賢龍君(小学4年生)の特集記事が掲載されました。

勇誠会道場生内田賢龍(けんりゅう)君(小学4年生)の特集記事が2014年10月1日オールスポーツコミュニティサイトの感動宅配便に掲載されました。以下に転載します。

負けを知ったほうが次にもっと強くなれる

第8回 全日本格斗打撃選手権大会第10回格斗打撃オルタナティブ大会に出た、とある空手少年。10歳になる内田賢龍(けんりゅう)君は、3歳の頃防具付き空手を始め、今年で、7年になる。防具付き空手とは、防具をつけて相手を思い切り攻撃する空手の流派だ。寸止めは無い。本気で打たれることによって、「痛みを知る」ことができる。そして、相手の痛みを思い、人間形成にも繋がる。この大会で小学4年生の部で3位だった。勝ちが多い賢龍君にとって、この成績は実は「がっかり」だったそうだ。

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そんな賢龍くんが今通う埼玉県加須市にある道場「勇誠会」の門を叩いたのは、賢龍くんのお父さんだった。「入門するよね?」と、見学に行ったその日に、お父さんに言われた賢龍くん。「ウン」というしか無かった。「私には内緒で、二人で道場に行ってきたのですよ。」と、お母さんの恵理香さんは微笑みながら言う。
お父さんが道場へ見学に行ったのは、自身が大人になって空手に興味を持ったからだ。そして、賢龍くんと二人で道場に入門する。
恵理香さんは、元々空手はやっていないが、普段は道場が主催する大会のスタッフとして、選手の皆さんに公平に接している。「自分の子どもだけに熱中することはできませんので、会場でプロのカメラマンの方に撮影していただいた写真が唯一、賢龍の姿を見ることができるのです。」賢龍くんが小さい頃から出ている大会も含め、カメラマンが撮影した写真で家族が盛り上がるという。

賢龍くんが空手を始めた当時、同年代の競技人口が少なかったこともあり、ただ、ひたすら勝ち進むことしか知らなかった。しかし、小学2年になった頃、賢龍くんは負けることが出てきた。「賢龍は身体があまり大きくなかったですし、体の大きさで負けてしまうこともありました。」勝って当たり前のところでの負けは辛かったようだ。

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「負けを知ったほうが次にもっと強くなれる」これは、賢龍くんが通う道場の白鳥師範の言葉だ。
この道場は、子どもを子ども扱いはしない。一人の人間として相手ときちんと向き合い、人への思いやりを大切にしている。何か苦手なことや、身体が故障して稽古がつらい時は、その状況の中でできることをする。例えば、右腕を怪我していたら、左腕で稽古ができる、と。「自分がダメだと思って休んでしまえば、嫌なら休んでも良いと教えてしまうことになります。難しい状況や辛い中でも、その中でできることを教えていきたいです。」そういうことを、家族が教えていくことが大切だと恵理香さんはいう。一つのことを、ずっと続けていく、「継続は力なり」だ。賢龍くんのお兄さんは高校生で、幼少の頃からずっとサッカーをしてきた。また、お姉さんは現在社会人で、子どもの頃からスポーツをやってきた。

賢龍くんは、空手を週に4回、1回で1時間30分稽古をしている。「ここは、週に1回の稽古でも、4回の稽古でも良いのです。自分のペースに任せてくれるのです」
現在賢龍くんは、1ヶ月に1度のペースで大会に出場している。全国で大会が開催されれば、両親と共に遠征する。

恵理香さんが家族で日頃心がけていることがある。それは、オンとオフのメリハリはきちんとすること。このことは、道場の白鳥師範が推奨していることでもある。学校や家では楽しく過ごし、稽古の時はケジメを持つ。「人を思いやり、自分に厳しくする。」弱い自分に打ち勝つこと。
そのように空手を通して成長して来た賢龍くんは、ついに、結果が出てきたのだ。「また優勝できるようになりました」。
その中で、先日の大会が3位だったので、悔しかったのだ。恵理香さんは言う。「競技としてだけではなく、空手家として先を見てやって欲しいと思います。それには、家族の協力が大切だと思います。」
賢龍くんは、今日も家族と共に道場へ向かう。 (文責:石渡)